【DTM】大ヒット曲から学ぶEDMで使えるコード進行の作り方
- 2024.12.30
- 2024.12.21
- コード進行
今回は、Pyramindによる「Galantisのヒット曲 “Runaway (U&I)”の解説」をまとめました。
この楽曲は夏フェスにぴったりのEDMで、世界中で大ヒットしました。
この記事では、この楽曲で使われているコード進行のテクニックをじっくり解説していきます。
ここからは解説の該当部分から動画が始まるように設定していますので、ぜひ動画を見ながらお楽しみください。
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この曲の最大の特徴は「リディアンモード」と「ドミナントコード」
この曲ではシンプルな4コードが使われていますが、その中でも特徴的なのがリディアンモードが使われている点と、ドミナントコードの使い方です。
リディアンモードとは、通常のキーの4番目の音にシャープをつけた音階です。
例えばCメジャーキーは「C,D,E,F,G,A,B」の7音が使われますが、Cリディアンモードは4番目のFにシャープが付き「C,D,E,F#,G,A,B」の7音が使われます。
ドミナントコードとは、トニック(スケールの一番はじめのコード)に行きたくなるコードです。
例えばCメジャーキーの場合、トニックはCメジャーコードで、ドミナントコードは基本的にG7コードになります。
今回は、このリディアンモードとドミナントコードがどのように使われているのかを解説しながら楽曲分析をしていきます。
基本のコード進行解説
この楽曲はGbメジャーキーで、サビで使われているのはこちらの4コードです。
I – iii – II – vii Dom 7
Gbメジャーキーは「Gb,Ab,Bb,B,Db,Eb,F」の7音ですので、Gbリディアンモードは「Gb,Ab,Bb,C,Db,Eb,F」となります。
そのため3番目の「A」は、本来のGbメジャーキーでは「Amコード」になるはずですが、今回はリディアンモードを使っているので「Aメジャーコード」になっています。
(BにシャープがついてCに変わる)
実際に聞いてみると、AメジャーコードとAmコードでサウンドにとても大きな違いが出ることがわかります。
リディアンモードを使ったときのAメジャーコードの方が、とても明るく聞こえます。
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ドミナントコードを使うテクニック
ここで、4番目のコードに着目してみましょう。
原曲ではF Dom 7のドミナントコードが使われているのですが、ここであえてBbm(iii)を使って弾いてみます。
聞いてみると、間違いではありませんが、少し単調な感じがしてしまいます。
ドミナントコードは、基本的にはスケールの5番目の音をルート音としたコードです。
(Cメジャースケールなら、G7がドミナントコード)
しかし、5番目のコード以外でもドミナントコードのような役割を出すことができます。
これを上手に行っているのが、この楽曲です。
ドミナントコードは「Iに行きたいコード」
「ドミナントコード」は、「鳴らすとIに行きたくなるようなコード」です。
例えばCメジャースケールの場合、ドミナントコード=G7コードを弾くと、I = Cメジャーコードに行きたくなる性質を持っています。
聞いているとなんだか不安定な感じがするので、安心できる音に行きたいと思わせるのが特徴です。
そのため「V – I」のコード進行はよく使われるのですが、V以外にもiiがドミナントコードとしてよく使われます。
例えばCメジャーキーだとiiはDmコードになりますので、「Dm – C」というコード進行はよく出てきます。
しかし、今回の楽曲はVでもiiでもない「vii Dom 7」です。
ドミナント7thコードの作り方
少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、ピアノの鍵盤を見ると動きはとてもシンプルです。
上の画像は、3番目のコードの「Abメジャーコード」です。
このコードのうち、ルート音のAbを半音上げてルート音のFを足せば「F Dom 7コード」の完成です。
「A,C,Eb」はA dimコードですが、ルート音をFにするとF Dom 7コードになります。
F Dom 7コードは単体で聞くと少し悲しい感じや怖い感じがしますが、この曲では逆に明るい印象を与えるコードになっています。
次のコードを勘違いさせるトリッキーなコード進行
Cメジャースケールの場合、ドミナント(V)はG7コードで、トニック(I)はCメジャーです。
そのため、人間の感覚的にはなんとなく「ドミナントの次は4つ上のトニックだ」「Gの次はCだ」と感じやすくなっています。
この楽曲の場合はGbメジャーキーですので、コード進行の終わりにF Dom7コードが来ると、直感的に「次は4つ上のBbメジャーコードに行くのではないか」と思いやすいです。
しかしこの楽曲ではF Dom 7コードの次にGbメジャーコードが来ますので、スムーズなコード進行でありながら、リスナーの予想もしない形でトニック(I)に戻ることができています。
クロマティックなドミナントコードを作る方法
この楽曲で使われている「F Dom 7 – Gb」というコード進行は、クロマティックにドミナントコードを使っている良い例です。
「クロマティック」とは「半音移動」のことで、このケースではルート音が「F → Gb」と移動している部分がクロマティックです。
(コード音もキレイに半音ずつ上がっています)
他の曲でも探してみよう
このようなトリッキーなコード進行は、他の楽曲でも使われています。
すぐ聞いてパッと分かればベストですが、難しい方は音源をダウンロードして、DAWでメジャーキーに変更して分析するとよいでしょう。
以上で解説は終了です。
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