【DTM・作曲】映画音楽の作り方 Part2「映画音楽のにおける重要な要素と制作手順」
- 2024.06.13
- 2024.06.15
- ゲーム・映像音楽
今回は、Native Instrumentsが解説する「映画音楽の作り方」をまとめました。
Part2では、「制作時の注意点と製作の手順5ステップ」について解説していきます。
「映画音楽を作るときに注意するべきことは何?」
「実際はどんな手順で音楽が作られているの?」
これらの疑問にお答えする内容です!
Part1「映画音楽の役割と制作の心構え」
Part2「映画音楽における重要な要素と制作手順」
Part3「映画音楽業界に入る方法」
スポンサードサーチ
映画音楽における重要な要素3つ
前回のPart1で、「映画音楽は映像内で表現される感情やストーリーを補強するための手段」とお伝えしました。
映像に合わせて音楽を作ることになるため、実際の映画音楽は非常にさまざまなスタイルで作られます。
例えばクラシック音楽のような映画音楽もあれば、アンビエント・環境音楽に近いスタイルの音楽もあります。
しかしジャンルやスタイルだけでなく、その他にも映画音楽における重要な要素が3つあります。
重要要素1.効果音(SE)
映画音楽では、楽曲(=音楽)だけでなく、効果音(SE)も使われます。
これらの効果音は楽曲と映像にぴったり合うよう厳密に調整されるため、映像にリアルさが加わり、まるで自分もその映像の世界にいるような没入感を与えます。
特にフォーリー(Foley)と呼ばれる効果音や環境音は、より現実世界に近いサウンドを演出することができます。
カメラで収録している音だけでなく、このように効果音だけ別撮りして音をクリアに、リアルにしていきます。
重要要素2.タイミング
音楽を始めるタイミングや音量によって、映像内で表現したい雰囲気や感情を増幅させることができます。
例えば「ジュラシックパーク(1993)」では、無音(もしくはかなり静か)な状態の後にスリリングな音を突然入れることにより、驚きや恐怖を一気に与えています。
「どこにどの音を入れるべきか」「いつからその音を入れるべきか」など、タイミングは映像音楽において非常に重要なポイントです。
重要要素3.ストーリー構成とキャラクターを支える音楽
映画音楽の役割において重要なポイントの一つに、ストーリー構成とキャラクターを支える「テーマ(モチーフ)」があります。
メロディーやコード、サウンドの質感により、その音楽を聞いただけでそのシーンや映画全体のテーマを感じ取ることができたり、キャラクター同士の関係性や場所について理解を深めることができます。
例えば「ニューシネマパラダイス(1888)」では、音楽を担当したEnnio Morriconeがキャラクターのライフステージに合わせて異なるテーマ音楽を作っています。
基本的にはピアノ、シロフォン、ギターとストリングスのオーケストラを使っていますが、リッチな雰囲気を出したいときは金管楽器や木管楽器なども取り入れています。
映画音楽の作り方5ステップ
それではここからは、実際に映画音楽を作る手順を5ステップでご紹介します。
ステップ1.ストーリーと映像のビジョンを理解する
まずは、その映画で何を表現したいと思っているのか、ストーリーはどのようなものなのかを理解するところからスタートします。
映画のストーリーやビジョンによって音楽のジャンルやスタイル、使用する楽器やエフェクトが変わるため、非常に重要なステップです。
このストーリーやビジョンについては、基本的に映像制作の最初の段階でミーティングが開かれ、その場で共有されることが多いでしょう。
まずは映画のテイストやムードを理解するためのラフカットなどを視聴したり、台本を読んでストーリーやキャラクターの全体図を把握します。
ステップ2.作曲、レコーディング、アレンジ
映画のストーリーやビジョンを把握したら、実際に音楽を作っていきます。
はじめは方向性の確認作業から
いろいろなモチーフやテーマを作ってみたり、映画の内容に合うような楽器構成・アレンジを考えていきます。
ある程度サンプルを作り終えたら、制作チームに共有し、フィードバックをもらいます。
もし監督に「これは合わないな」「これは違うな」などと言われても、落ち込まないでください。
映画音楽は「提出」と「フィードバック」を何度も繰り返して作られる作業です。
そのようなすり合わせを何度も行うことにより、その映画に最もふさわしい音楽が完成するのです。
まずはじめは「おおよそのジャンル、スタイル、楽器構成を決める」ことが大切です。
具体的なカットや展開を話し合う
モチーフやテーマ、楽器構成について方向性が固まったら、実際に楽曲を作る前に、まず「Spotting Session」を行います。
このSpotting Sessionでは、監督と一緒に「どこにどの音楽を入れるべきか」を入念に話し合い、映像においてキーポイントとなる瞬間や場面展開を把握します。
映像に合わせて音楽を作る
Spotting Sessionが終わったら、Spotting Sessionで話し合った内容をもとに、各シーンに合わせて曲を作ります。
テンポやダイナミクス、オーケストレーションなども考慮し、その場面で表現したい感情やストーリーに最も適切な音楽は何かを考えましょう。
DAWの「マーカー機能」などを使い、「何分何秒に何が起こる」などをメモしておくと便利です。
※「バックトゥーザフューチャー」や「フォレスト・ガンプ」などでおなじみのAlan SilvestriのDAW画面。Cubaseのマーカートラックに「1:Cut Door opens」など、映像内における動きがメモされている。
このときコンポーザーキュー(Composer Cues)と呼ばれるものを作ることがあります。
これは「どのシーン」の「どの瞬間」に「どの音楽を入れるのか」を決める番号で、基本的には次のように表記されることが多いです。
m:music=音楽の略
キューナンバー(Cue Number):キュー番号
例えば「2M15」であれば、「リール2、Music、Cue15」の場面で使われる音楽ということになります。
ステップ3.オーケストレーションとインストゥルメンテーション
オーケストレーションとインストゥルメンテーションは、作曲において非常に重要なパートです。
音楽の方向性や予算などにもよりますが、アレンジの内容によってはオーケストラや演奏者を呼んでレコーディングすることがあります。
フルオーケストラで豪華に演奏することもあれば、少人数のアンサンブル、電子楽器などを使うこともあります。
例えば、「スターウォーズ」の音楽はフルオーケストラで、非常に豪華なサウンドになっています。
お金がなければ映画音楽はできない?
先ほどは非常に豪華なサウンドが特徴の「スターウォーズ」の例をご紹介しましたが、自分1人で音楽を作る必要がある場合も心配は入りません。
全ての映画音楽が、このようにフルオーケストラでなければいけないということはありません。
映画のストーリーによっては、逆にミニマルでシンプルな編成の方が適切な場合もあります。
また、もし予算がなくプレイヤーを雇うことができない場合も、ソフトウェア音源を使ってフルオーケストラのサウンドを作ることも可能です。
さらに使う楽器だけでなく、テンポや音量、リズムなどを工夫することで理想の音楽に近づけることも可能です。
ステップ4.編集とミキシング(ポストプロダクション)
作曲とレコーディングが終わったら、次は編集(エディット)とミキシングを行う「ポストプロダクション」の段階です。
このプロセスでは、エディターやサウンドデザイナー、エンジニアなどと一緒に作業をし、よりそのシーンに合ったサウンドに仕上げていきます。
映像に合わせて音のタイミングを微調整したり、映像自体の尺やエフェクトを調整することもあります。
ステップ5.完成!
最後に、作曲家、監督、その他の製作陣と一緒に映像を確認し、完成です。
Part3「映画音楽業界に入る方法」はこちら↓
-
前の記事
【DTM】iLokが故障・盗難・紛失したときにやるべきことと、事前にやっておくべきことまとめ 2024.06.13
-
次の記事
【DTM・作曲】映画音楽の作り方 Part1「映画音楽の役割と制作の心構え」 2024.06.13