自分の楽曲を配信・収益を得るときの注意点【各サイトの使い方】
- 2025.04.14
- その他(ビジネス)

今回は、Indie Music AcademyのRyan Waczekが解説する「DistroKid vs TuneCore vs CD Baby vs BMI vs SoundExchange vs Songtrust」をまとめました。
これらのサイトは音楽を配信するときに使われるサイトなのですが、それぞれできることが異なります。
※日本では「JASRAC」「BIG UP!」「narasu」などもこれらの仲間です
つまり、配信や著作権使用料、収益などすべてを管理することを考えると、これらのうちどれか1つだけでは不十分です。
この記事では、音楽を配信するときは何に注意すればいいのか、何のためにどのサイト・サービスを使えばいいのかについて解説します。
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音楽を配信するならどのサイト・サービスを使えばいい?

音楽を配信するときによく使われるのが、こちらのサイト・団体です。
日本だと、以下のサイト・団体も有名です。
これらのサイトにはそれぞれ異なる役割があります。
曲名やアーティストの情報を記入・配信したり、楽曲が配信サイトで再生されたときに発生する収益の管理を行います。
有名なサイト・団体:DistroKid、TuneCore、CD Baby、BIG UP!
ウェブラジオなど、ユーザーが楽曲を自由に選択できない環境で音楽が使用されたときに発生する収益を管理します。
有名なサイト・団体:SoundExchange、Songtrust
音楽を配信するときに使うサイト1.ディストリビューター

音楽を配信するときに使うサイト1つ目はディストリビューターと呼ばれるサイトです。
DistroKidやTuneCore、CD Babyなどが挙げられます。
日本では「BIG UP!」や「narasu」も有名です
ディストリビューターは、自分の楽曲をApple MusicやSpotify、Amazon Musicなどに配信するための手続きをするサイトです。
多くのサイトでは「年間○円支払うと配信し放題」「1曲の配信につき年間○円」のような形でお金を支払えば、自分の曲をさまざまな音楽配信サイトで配信できます。
配信した楽曲が再生されると、かなり少額ではありますが収益(ロイヤリティー)を受け取ることができます。
「配信手続き」「ストリーミング再生による収益の獲得」を行うのが、ディストリビューターの役割です。
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音楽を配信するときに使うサイト2.PRO

音楽を配信するときに使うサイト2つ目は「PRO」と呼ばれるサイトです。
PRO:Performing Rights Organization
例えばライブで自分の楽曲が演奏されたり、テレビやラジオで流れたり、カラオケで配信・歌われたときに発生する使用料を管理します。
この著作権使用料は、前述の音楽配信サイトで再生されたときに発生する収益よりも高いこともあります。
実際の収益は契約によって変わります
PROは、アメリカなどではASCAPやBMI、日本ではJASRACやNextoneが有名です。
音楽を配信するときに使うサイト3.非インタラクティブのプラットフォームに特化したサイト

音楽を配信するときに使うサイト3つ目は「非インタラクティブのプラットフォームに特化したサイト」です。
ユーザーが曲を直接選ばない形で楽曲が再生・使用されたときに発生する著作権料を徴収・分配します。
現代ではネットを通じて楽曲が使われることも多いので、「より現代の音楽文化に合わせたPRO」とも言えます。
例えばApple Music、SpotifyやAmazon Musicでは、ユーザーが聴きたい曲を自由に選ぶことができます。

しかしPandoraやSiriusxmのようなウェブラジオでは、ユーザーが選んだ楽曲を聴くことはできません。
※Pandoraは日本では視聴できません。Siriusxmは月額課金が必要です。
このようなサイトで楽曲が再生・使用されたときに発生する著作権料を管理するのが、このような「非インタラクティブのプラットフォームに特化したサイト」サイトです。
SoundExchangeやSongtrustなどがこれにあたります。
前述のPROはこのような形で楽曲が使用されたときの使用料は管理しないため、注意が必要です。
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補足:AM/FM放送とウェブラジオの違いは?
AM/FMのラジオ局やテレビ局は、「年間○円支払えば、JASRACに登録してある曲をラジオで流してもいい」という契約をJASRACと結んでいます。
そのため、毎回1曲1曲許諾を取ってその度に使用料を支払って…という面倒な手続きをしなくてもいいようになっています。
※使った曲目の報告はJASRACへ行なっています
JASRACは、この契約でラジオ局・テレビ局からもらったお金を楽曲の著作者に分配しています。
ちなみに、お店でラジオをBGMとして流すときにも違いがあります。
AM/FM放送をお店のBGMとして流す場合は、手続きが必要ありません。
※radikoなどラジオ局が公式にネットで同時放送しているものをお店で流す場合も、手続きは不要です
一方、個人サイトなどで音楽を流す場合は、著作者に許諾を得る必要があります。
例えば個人でネットラジオ風のサイトを作ったときは、流す音楽1曲1曲の著作者に使用の許諾を得る必要があります。
JASRACに登録されている楽曲であった場合は、JASRACに問い合わせる必要があります。
ちなみにJASRACの公式サイトでは、インターネット上で楽曲を利用する場合にJASRACへの手続きが必要かどうかを判断する診断ツールがありますので、ぜひ参考にしてください。
カバー曲を演奏すると誰に収益が入る?
例えば「非インタラクティブのプラットフォームに特化したサイト」に該当するSoundExchangeでは、収益分配が次のように行われます。

45%:フィーチャーアーティスト
5%:その他アーティスト(セッションミュージシャンなど)
例えばASCAPなどのPROとSoundExchangeにカバー曲を登録したとき、収益分配はどのようになるのかを比べてみましょう。

著作権保有者は「原曲を作った人」
フィーチャーアーティストは「カバー曲を演奏した人」
原曲を作った人
著作権保有者(50%)
フィーチャーアーティスト(45%)
原曲の制作に参加したその他アーティスト(5%)
つまりカバー曲を演奏すると、PROではカバー曲を演奏した人には収益が入りませんが、SoundExchangeでは「カバー曲を演奏した人」も45%の収益を得ることができます。
そのため、もしカバー曲で収益を得たいのなら、SoundExchangeのような非インタラクティブのプラットフォームに特化したサイトにカバー曲を登録した方がよいでしょう。
登録しないと、45%の収益を見逃していることになります。
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「海外で発生した収益」と「YouTubeにアップした動画の収益」の注意点
今ではYouTubeにカバー動画をたくさんアップしている人がいたり、自分が住んでいる国以外の国で楽曲が使用・販売されることもあります。
しかしディストリビューターによっては、YouTubeで再生された分の収益は得られなかったり、海外で発生した録音権による収益が得られないことがあります。
録音権:デジタル媒体や物理媒体で、楽曲が何らかの形で配信・生産・販売されたときに分配される権利。CD販売やストリーミング、楽曲のダウンロードなど。
また、海外で発生した録音権(Mecanical Rotalty)の収益はPROで回収されないことがあります。
つまり、「海外で発生した録音権の収益」と「YouTubeにアップした動画の収益」を逃さないための手段が必要になります。
海外収益とYouTube動画の収益でおすすめのサイト3つ

「海外で発生した録音権の収益」と「YouTubeにアップした動画の収益」を逃さないためにおすすめなのが「Songtrust」「CD BABY PRO Publishing」「TuneCore」です。
この3つのサイトでは、海外で発生した収益やYouTube動画で発生した収益を管理することができます。
例えばTuneCoreでは、楽曲をアップすると「この曲はカバー動画ですか?」という質問が出てきますので、そちらにチェックを入れます。
審査の後にカバー曲と認定されれば、自動的に原曲者にも収益が分配され、カバー作品を作ったみなさんにはフィーチャーアーティストとしての収益が入るようになります。
プロが楽曲配信のために登録しているサイト4つ
ちなみに僕(Ryan)が楽曲配信のために登録しているサイトは、こちらの4つです。

ディストリビューターの「AWAL」はYouTube Content IDも登録できるので、YouTubeで発生した収益も一緒に管理することができます。
音楽配信に使うサイトはそれぞれ異なる権利を管理している
今回ご説明した通り、音楽配信のために使うサイトは一見似ているようで、実は管理している権利や収益が異なります。
そのため、どのサイトや団体がどんな役割や機能を持っているのかをしっかり確認し、必要に応じて登録することが大切です。
日本語対応している楽曲配信関連サイトまとめ
最後に、日本語対応している楽曲配信関連サイト・団体をご紹介します。
以上で解説は終了です。
当サイトでは他にも著作権やカバー曲に関する注意点をまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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