ヒット曲「Light Switch」の作曲方法【ハーモニー編】
- 2025.04.12
- 2025.04.01
- 楽曲分析

今回は、Jeff Schneiderが解説する「”Light Switch”から見るチャーリー・プースの音楽理論の秘密」をまとめました。
今回は「ハーモニー編」として、コード進行やハーモニーに関わる部分について解説していきます。
「Attention」などをはじめヒット曲を連発しているチャーリー・プースですが、「Light Switch」では一体どのような作曲テクニックが使われているのでしょうか?
DTMで作曲している方はもちろん、シンガーソングライターとして活動している方も今日から使えるテクニックが満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。
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はじめに:今回の解説の進め方
今回は、「Light Switch」で使われている作曲テクニックを「ハーモニー」と「メロディー」の2つに分けて解説します。

それらをさらに分解し、「ハーモニー」で使われている「コード進行」と「コードクオリティー」、「メロディー」で使われている「ピッチ」と「リズム」に分けて詳しくご紹介します。
今回のポイント
・コードクオリティを意識するとコード進行も自由自在に操れる
・マイナーコードが多くても暗くなりすぎないのはコードクオリティを意識しているから
それでは、解説を始めます。
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チャーリー・プースの作曲方法:ハーモニー
一般的なポップスの楽曲では、「I」「IV」「V」「vi」の4つのコードが使われる「4コード」のタイプが多いです。

例えばCメジャーキー(C,D,E,F,G,A,B)の曲なら、ダイアトニックコードはこちらの7つになります。

ii:Dマイナーコード(D,F,A)
iii:Eマイナーコード(E,G,B)
IV:Fメジャーコード(F,A,C)
V:Gメジャーコード(G,B,D)
vi:Aマイナーコード(A,C,E)
vii⚪︎:Bディミニッシュコード(B,D,F)
※ローマ数字の大文字はメジャーコード、小文字はマイナーコード、小文字+○はディミニッシュコードを表します
そのため、Cメジャーキーの「4コード」はCメジャーコード、Fメジャーコード、Gメジャーコード、Aマイナーコードの4つが使われることが多い、ということになります。
コードの順番を自由に入れ替えられる
この4つのコードを使うとき、コード進行の順番はどんな順番でも曲としてしっかり成立します。

例えば「IV – vi – I – V」というコード進行にするとどうなるのか、聞いてみましょう。
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「Light Switch」では4コードがどのように使われている?
それでは、Charlie Puthの「Light Switch」ではこの4コードがどのように使われているのか、聞いてみましょう。
まずは、原曲のこちらの部分をお聞きください。
この曲はG♭メジャーキーで、フラットが6つ付いています。

少し難しく感じるかもしれませんが、これは以下のようにシンプルに考えることができます。

ii:Abマイナーコード(Ab,B,Eb)
iii:Bbマイナーコード(Bb,Db,F)
IV:Bメジャーコード(B,Eb,Gb)
V:Dbメジャーコード(Db,Eb,Ab)
vi:Ebマイナーコード(Eb,Gb,Bb)
vii⚪︎:Fディミニッシュコード(F,Ab,B)
下の画像3つの通り、この曲では曲全体を通して4コードが使われています。
IVではなくiiが使われています
vi – I – V – ii




「Light Switch」の曲の基本情報を整理してみよう
それでは、この曲の基本情報をかんたんに整理してみましょう。

Gbメジャーキー
Gb,Ab,Bb,Cb(B),Db,Eb,F
コード
Ebm – Db – Db – Abm
vi – I – V – ii
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IVの代わりにiiを使うとどうなる?
先ほど、多くのポップスの楽曲では「I」「IV」「V」「vi」の4コードがよく使われると話しましたが、この曲では「IV」の代わりに「ii」が使われています。
このように、IVの代わりにiiを使うと、コード進行の雰囲気はどう変わるのでしょうか?
わかりやすいように、Cメジャーキーの例でチェックしてみましょう。

Cメジャーキー
C,D,E,F,G,A,B
コード
F – Am – C – G
IV – vi – I – V
「IV – vi – I – V」というコード進行を作ってみました。
それでは、このコード進行を聞いてみましょう。
次に、IVをiiに変えてみましょう。
Cメジャーキー
C,D,E,F,G,A,B
コード
Dm – Am – C – G
ii – vi – I – V
それでは、最初のコードをIVにしたバージョンと、iiにしたバージョンでそれぞれ聞き比べてみましょう。
少し雰囲気が変わり、iiの方が少しだけ暗いサウンドになりました。
これは、IVがメジャーコードなのに対し、iiがマイナーコードだからです。
マイナーコードが多いのに暗い雰囲気になりすぎない理由
マイナーコードが多いほど、全体的に暗い雰囲気になります。
しかし、チャーリー・プースの「Light Switch」はそこまで暗い雰囲気がしません。
これは次に解説する「コードクオリティ」が大きな理由になります。
例えば、この「コードクオリティ」を意識して「ii – vi – I – V」を弾くと、このようなサウンドにすることもできます。
マイナーコードが多いはずなのに、「コードクオリティ」を意識するとなんだかオシャレでフワフワした雰囲気になりましたね。
チャーリー・プースの作曲方法:コードクオリティとは?

コードクオリティとは、いわゆる「コードのカラー」です。
11thや9thなどのテンションを入れたり、ボイシングを変えたり、演奏しないコードトーンを作ると、雰囲気(カラー)が大きく異なります。
例えば「Light Switch」では、ただの「Ebm」ではなく「Ebm(11)」というコードが使われています。

他にもGb(add9)やDb(add4)などが使われています。


コードクオリティの違いを感じてみよう
例えば、Dマイナーコード(D,F,A)に11thの音を入れてDm11(D,F,A,C,E,G)を弾いてみましょう。
※動画中ではAの音を抜いてD,F,G,C,Eと弾いています
次は、Aマイナーコード(A,C,E)に11thの音を入れてAm11(A,C,E,G,B,D)を弾いてみましょう。
※動画中ではEとBの音を抜いてA,G,C,E,Dと弾いています
次は、Cメジャーコード(C,E,G)に9thの音を入れてC11(C,E,G,B,D)を弾いてみましょう。
※動画中ではBの音を抜いてA,G,C,C,Dと弾いています
最後に、Gメジャーコード(G,B,D)に4thの音を入れてGadd4(G,B,C,D)を弾いてみましょう。
ちなみに最後にご紹介した「add4」のコードは、チャーリー・プースがよく使うコードの一つです。
このようにコードクオリティーを意識することで、マイナーコードが多くても雰囲気が暗くなりすぎず、程よいカラーに落ち着けることができます。
チャーリー・プースが使っている作曲方法「ハーモニー編」まとめ
今回ご紹介したように、シンプルな4コードとコードクオリティを上手に調整することによって、チャーリー・プースのようなサウンドに仕上げることができます。
今日からできるシンプルなテクニックですので、ぜひお試しください。
次回は「メロディー編」として、メロディーをチャーリー・プースのように作る方法についてご紹介していきます↓
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