ボーカルレコーディングを劇的にキレイにする2つのコツ

どれぐらいの音量で録音すればいいの?
今回はこのようなお悩みにお答えする内容です。
レコーディング・ミキシングエンジニアのGraham Cochraneが解説する「たったの2ステップでキレイなボーカルをレコーディングする方法」をまとめました。
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キレイに録音できない2つの原因
レコーディングしたときに音がうまく録れていないのは、以下2つの原因があります。
2.ゲインを上げすぎている
この2つを詳しく解説&解決方法をお話しする前に、まずはレコーディング環境、レコーディングの前提についてお話しします。
レコーディングの前提
まず前提として、歌がうまいほど美しくレコーディングできるということを念頭においてください。
逆に、歌が上手くない場合はきれいに音を録れないということです。
また、良いマイクを使うことも重要なポイントです。
可能な限り、良いマイクを使いましょう。
ちなみにおすすめのマイクはRODE NT1A。
この動画でも使っていますが、キレイに録れて、シンプルで、コスパが良いです。
ポップフィルターを使おう
ショックマウントに取り付けられるポップフィルターは非常に重要ですので、まだ持っていない方は購入しましょう。
ポップフィルターがないと、不必要な音が入ってしまい、きれいにレコーディングすることができません。
ちなみにさきほどおすすめしたマイク「RODE NT1-A」は、ポップガード付きショックマウント、マイクケーブル、専用ポーチがセットになったパッケージもあります。
ポップフィルターには、他にもマイクとの距離問題を解決する役割があります。
ここからは、マイクとの距離問題の原因と、その対処法をご紹介します。
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原因1: マイクとの距離が適切でない
多くのシンガーが、マイクとの距離が近すぎる状態で録音しています。
この問題の要因は2つ。
1つは、多くのマイクがカージオイドであることです。
マイクの正面の音だけを強く拾うマイクのことを単一指向性マイクといいますが、これらはカージオイドです。
カージオイドのマイクを使う場合、マイクに近づくほど低音が増強されます。
ハリウッド映画のトレイラー用のレコーディングならそれでも良いかもしれません。
たとえば神様の声を表現するとき、大きく深みのある声はぴったりなので、マイクに近づいてレコーディングする方が良い場合もあります。
でも、音楽における声(ボーカル)はどうでしょうか?
できるかぎり自然な声にしたいですよね。
マイクに近づきすぎると自然な音では録れないので、注意が必要です。
マイクとの距離の目安は?
目安としては、マイクから20cm離れた場所で録るのがおすすめです。
ポップフィルターの位置の目安は?
僕の場合は、ポップフィルターをマイクから10cmほど離れたところにセッティングしています。
こうすれば、ポップフィルターがマイクとの良い境界線となり、マイクに近づきすぎることはなくなります。
ポップフィルターをセットしたら、今度は自分の体をポップフィルターから10cmほど離します。
こうすれば、自然にマイクから20cm離れることになります。
「マイクとの距離が大切」のもう一つの理由
マイクとの距離が大切なのは、もう一つ理由があります。
「逆2乗の法則」が起こってしまうことです。
当たり前ですが、マイクに近づけば近づくほど、声をはっきりと録ることができます。
しかし同時に、シンガーがほんの少し動いただけでも録れ方に大きく変化が出てしまいます。
たとえば、少し頭を動かしただけでもリスナーが「今動いたな」とわかってしまうぐらい、大きくボリュームに変化が出てしまいます。
「多少動いても大丈夫」という安心感があれば、どのジャンルでもどんなテンポの曲でも何も気にせずに歌うことができます。
直立不動で歌うことはほとんどありませんし、その歌い方だと良い歌にならないことがほとんどです。
マイクときちんと距離を取っていれば、歌っている時の動きは録れ方に影響しません。
マイクと離れたらどうなる?
マイクと離れると、反響音(部屋鳴り)が多く録れてしまいます。
吸音材などで音響を整えている場合、この反響音をある程度防止できます。
しかし、どんなに頑張っても反響音は必ず発生しています。
レコーディングする際には最低限、反響音とボーカルが同じぐらい録れていないようにしましょう。
反響音とボーカルが同じぐらいの音量で録れてしまっている場合は、マイクから離れすぎです。
少々の反響音は録れてしまっても、ミキシングすれば気にならないことがほとんど。
基本的にボーカルの声が聞こえるような状態にするのがよいでしょう。
先ほどお伝えした「マイクから20cm離れる」は、僕が見つけた「ボーカルレコーディングのスウィートスポット」。
これぐらいの距離がちょうどいいです。
原因2: ゲインを上げすぎている
2つ目の問題は、「ゲインを上げすぎている」です。
つまり、大きすぎる音で録音されている、ということですね。
これは、プリアンプやオーディオインターフェースのゲインを上げすぎていたり、マイクとの距離が近すぎるのが原因です。
レコーデイングにおいて「大きな音量で録る」というのは重要ではありません。
その必要はないのです。
まずはプリアンプやインターフェースのゲインを下げましょう。
そして、ウォーミングアップ中や実際に歌っている時にDAWのメーターを確認しましょう。
メーターがピークを超えたり、クリップが発生したり、ピークに非常に近いところまで来ないようにボリュームを調整します。
レコーディングレベルの目安
目安としては、メーターがだいたい50%のところまで来るぐらいがちょうどいいです。
ピーク時に50%ぐらい、それ以外は50%以下でおさまるぐらいがよいでしょう。
「そんなに低くていいの?」と思う方もいるかもしれません。
実際にそれぐらいの音量でレコーディングすると、弱々しいとか、腑に落ちないと思うかもしれません。
しかし大事なのは、より良い音で録ることであって、大きな音で録ることではありません。
それでは実際に、ゲインを下げて録った音声を確認してみましょう。
(動画の9:46〜)
ピークに達することはなく、声は大きすぎず、きれいに録れていることがわかります。
音量はミキシングのときに上げればいい
使っているスピーカーやヘッドホンによっては、ボーカルが小さく聞こえることもあります。
このときも、信号に直接関わるプリアンプは上げないようにしてください。
音量が足りなかったらミキシングのときに上げればいいですから、ここでは我慢しましょう。
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まとめ
今回の話をまとめると、このようになります。
ボーカルをキレイに録るためには…
1.マイクとの距離を20cm程度に保つ
近すぎると自然でない音で録れてしまう。
離れすぎると反響音が録れすぎてしまう。
2.ゲインをメーターの50%ぐらいまで上がるぐらいにする
メーターの限界ギリギリ・ピーク超えはNG。
音量はミキシングのときに上げればOK。
さらにレコーディングがうまくなるには?
こちらの書籍には、レコーディングに関する多くの知識が掲載されています。
レコーディングは実技ももちろん大切ですが、このように座学で学ぶことも現場で大いに役立ちます。
これからレコーディングを始める方、より極めたい方は、ぜひチェックしてみてください。
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