バークリー音楽大学出身者が語る「音大に行く意味とは?」
- 2025.01.28
- プロになる方法・音大進学
今回は、The Donut Doctorが解説する「バークリー音楽大学を卒業した8年後」をまとめました。
解説者・The Donut Doctorは、バークリー音楽大学のジャズギター専攻出身者です(副専攻は音楽理論)。
この記事では、音大志望の方や音大出身者の方が気になる以下のトピックについて語っていきます。
・音大に行ってよかったと思うことは何か?
・音大で学んだことのうち、役に立ったことは何か?
・もし高校時代に戻ったら、また音大に行こうと思うか?
・音大出身であるデメリットとは?
・音大に行かなくてもプロになれると思うか?
・音楽のプロになりたい人に伝えたいことは?
・音大に行くことをおすすめする人はどんな人?
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そもそもなぜ音大に行こうと思ったのか?
僕(The Donut Doctor)は、高校生のときに「音大に行かなければプロのミュージシャンにはなれない」「音大に行けないなら、僕の人生は終わる」と考えていました。
だから、音大に行こうと思いました。
しかし、今なら「そんなことはない」と言えます。
音大に行かなくても(行けなくても)人生が終わることはありませんので、もし同じような気持ちを持っている人がいたら安心して欲しいです。
とは言え、やはり「音大に行ってよかった!」と思うこともたくさんあります。
音大に行ってよかったと思うことは何か?①
よく「音大ならいい音楽仲間に出会える」という話を聞くかもしれません。
音楽を本気で志している人が集まる場所なので、音楽に真剣な人と繋がりを持つことができ、いいコミュニティができるというのが大きな理由です。
実際に素敵な友達ができて、一緒に音楽を高め合ったり、その後のキャリアを助け合える関係になることもあります。
直接友達にならなくても、自分よりもはるかにスキルが高い人を見つけて「もっと自分も頑張らなきゃ!」というモチベーションになることもたくさんあります。
実際に、金曜日の夜は遊びに行かずこもってひたすら練習する日々を送っていました。
「音大に行っていなければ、 ここまで練習の熱意を持てていただろうか?」と考えることもあります。
また、自分と違う音楽スタイルや興味を持っている人のおかげで、新しいジャンルに挑戦するきっかけも得られます。
実際に、僕はジャズギター専攻でしたが、クラシックギターやポップスのギターを学ぶ機会もありました。
大学のカリキュラム自体も多様なので、より幅広いジャンルを学ぶことができました。
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音大に行ってよかったと思うことは何か?②
僕がバークリー音楽大学で素晴らしいと思ったのは、学部全体の姿勢です。
通常、何かを教える・教わるときは特定のカリキュラムに沿って学習を進めます。
運転免許を取るための教習所でも、学ばなければいけないことは基本的に決まっていて、学校によってその内容が劇的に変化することは少ないでしょう。
場合によっては「別に学校に行かなくても自分一人で勉強できるじゃん」と思うようなことのために、多額の学費を払っていたりします。
しかし、バークリー音楽大学では違いました。
特に僕がいたギター専攻の先生方は、僕の悩みや特性に合わせて親身に指導をしてくださり、とてもタメになるアドバイスをたくさんいただきました。
「それは別のところでも学べるよね」ということが少なく、そこでしか学べないことがたくさんありました。
僕の体感ですが、今の音楽のキャリアに必要だった知識の90%は音大で学んだと思います。
残りの10%は、ベーシックな音楽理論など「他のところでも学べる」というようなことです。
音大で学んだことは、役に立つことだらけだったと思っています。
もし高校時代に戻ったら、また音大に行こうと思うか?
「もし僕がいま高校生だったら、また同じように音大に行こうと思うか?」という質問があったら…正直なところ、答えはNOです。
バークリー音楽大学があるボストン(アメリカ)に引っ越して、バークリー音楽大学の先生方のプライベートレッスンを週4ぐらいで受けると思います。
※大学だけでなく、自分の個人教室でレッスンをしている先生方もいらっしゃいます
確かな知識と技術がある先生の1回30分~1時間のレッスンを週4で受けていれば、しっかりスキルアップできると思うからです。
しかし、これは「音大で学べることは何かをしっかり理解している人」でないと効果がないかもしれません。
正確に言うと、ある程度スキルアップはできても自分のゴールに辿り着けない可能性があります。
なぜなら「音大ではこういうことを学べるが、それは個人レッスンでも学べる」「これは音大でしか学べないが、自分の目標のためには特に必要ないので、音大に行く必要はない」と自分に必要なものをしっかり取捨選択する必要があるからです。
そのため、この「音大に行かずプライベートレッスンを受ける」という選択は、僕が一度音大に行ったことがあるからこそできる判断なのかもしれません。
逆に「音大で学べることが具体的に何かをよく知らない人」は、1~2年だけでもいいので、音大(専門学校)に行ってみて、さまざまな仲間や環境に囲まれてみる方がいいと思います。
前述のように、思いがけない発見があったり、自分の人生を変える指導をしてもらえたり、モチベーションアップにつながることがあるからです。
単純に「とりあえず楽器が上手くなりたい」という人なら、個人レッスンを週に何回か受けるだけでも十分かもしれません。
※大学に比べれば学費も安いでしょう
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音大出身であるデメリットとは?
音大卒業後にオーディションを受けたこともあるのですが、そのときに「あなたは音大出身ですか?」と聞かれることもありました。
残念ながら、このような質問には「あなたは〇〇音大出身だから、そういう演奏の仕方をするよね」など少し皮肉を交えたニュアンスや決めつけが含まれていることがあります。
※もちろん、そうでない純粋な質問であることもあります
そのような質問にあえて「いいえ、音大は出ていません」と答えると「いいね。あなたの演奏、好きだよ」などと言われたりもします。
「はい、バークリー音大出身です」と言っていたら、いったい何と言われていたのでしょうか…
いずれにしても、「音大出身だから〇〇だよね」「〇〇音大卒なら〇〇だよね」など、何かを勝手に決めつけられるようなことを言われることはあります。
音大に行かなくてもプロになれると思うか?
僕が尊敬しているミュージシャンの多くは、音大に行っていないどころか、音楽系の学校がないような地域で育ってきた人もいます。
そのような人たちは、音大に行かなくても、音大に行っている人と同じかそれ以上に練習をしています。
文字通り、使える時間はすべて音楽に使っているような人です。
そのため、プロになれるかどうかは「音大出身かどうか」ではなく「必要な練習をどれぐらいしてきたか?」で決まると思います。
音大に行かなくても上達できる&仲間もできる
前述の通り、音楽大学(専門学校)に行かなくても、個人や会社が運営している音楽教室に行ってスキルアップすることは可能です。
集団レッスンであれば友達も作りやすく、その音楽教室が主催する合同発表会のようなイベントを通して仲間ができることもあります。
また、SNSなどを使って音楽仲間を作ることもできますし、遠方に住んでいる素晴らしい先生のオンラインレッスンを受けることもできます。
そのため、音大に行かなくてもスキルアップはできますし、音楽仲間を作ることも可能です。
ちなみに教室内で発表会がある音楽教室やオンラインレッスンを受けられる音楽教室についてはこちらにまとめていますので、検討中の方はぜひ参考にしてください↓
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音楽のプロになりたい人に伝えたいこと
音楽のプロになる夢を持っている人の中には、「音大に行かなきゃプロにはなれないんじゃないか」「音大受験で不合格になったということは、自分に音楽は向いていないということなんじゃないか」と考える人もいるかもしれません。
しかし、そんなことはありません。
音大に行かなくてもスキルアップはできるし、プロになることもできます。
「プロのミュージシャン」の素晴らしいところは、「プロのミュージシャンになる方法」に正解がないというところです。
医者や弁護士などの職業とは違い「国家試験に合格しないと絶対にダメ」とか「このルートでキャリアを積まないとダメ」ということもありません。
プロになる方法には正解もルールもないので、音大に行けても行けなくても落ち込む必要はありません。
音大に行くことをおすすめする人はどんな人?
今回の内容をまとめると、以下に当てはまる方は音大に行くことをおすすめします。
意外に映画音楽に向いていたり、ジャズに興味を惹かれたりなど、思いがけない興味関心・可能性を発見できる
あらゆる先生や仲間、授業に触れることで自分に足りないものが何かを理解しやすい
※自分に足りないものを補うための方法が音大進学しかないなら、音大進学がベター
すでに自分に足りないものがわかっている人は、それを補うための個人レッスンをピンポイントで受けた方が効率がいいかもしれない
※こちらの方が学費も安く済みやすい
同じ志を持った人や自分よりも遥かにスキルが高い人に毎日囲まれることで、モチベーションアップにつながりやすい
一人でも自分に厳しく練習し、モチベーションを維持できる人は仲間がいなくても上達可能
以上で解説は終了です。
当サイトでは他にも「音大に行く意味」や「プロになる方法」についてさまざまなプロのミュージシャンによる解説をまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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