用語解説・音楽ジャンル

【音楽ジャンル】アパラチアンミュージックとは?【詳細編】

今回は、「アパラチアンミュージック」の英語版wikipediaの内容をまとめました。

この詳細編では、実際の音声を聞きながら、アパラチアンミュージックの歴史や特徴を具体的に解説していきます。

「とりあえず手っ取り早くアパラチアンミュージックについて知りたい」という方は、前回の「概要編」をご覧ください。

概要編はコチラ

アパラチアンミュージックのはじまり

最初のきっかけは、17~18世紀です。

今のイギリスであるイングランドやスコットランド低地地方、アルスター(アイルランド)からの移民がアパラチアン(アメリカの右下の山脈付近)にたどり着き、彼らの地域の伝統音楽をアパラチアに運んできました。

これがイギリス・スコットランドバラッドや、フィドルの伴奏があるリールなどのダンスミュージックの元となります。

スコットランドバラッド

Old Blind Dogs - Edward (Scottish Folk Ballad)
The Highland Clearances - Miss Catherine Brosnan --- Silly Wizard

リール音楽

[Celtic Dance] Tabache - The Gneevguillia Reel

アパラチアで人気の曲

「Pretty Saro」「The Cuckoo」「Pretty Polly」や「Matty Groves」など多くのアパラチアンバラッドにイギリスの伝統バラッドが引き継がれ、その地で人気となりました。

Appalachian Stories: II. Pretty Saro
Rising Appalachia - Cuckoo (Official Audio)
Coon Creek Girls "Pretty Polly" 1938 Appalachian hillbilly, Lily May & Rosie Ledford, Esther Koehler
Mathy Groves

アパラチアで人気の曲は他にも「Young Hunting」「Lord Randal」「Barbara Allen」などがあり、これらはスコットランド低地地方のルーツを持っています。

Young Hunting
Lord Randal
Bradley Kincaid - Barbara Allen (1930).

イギリス王室でも人気だったアパラチアンミュージック

アパラチアの人気なフィドル楽曲の中には、西アイルランドやスコットランド高地地方など、ゲール語圏地域の起源を持つものもあります。

これらの印刷版は非常に人気で、北アメリカを含み18世紀の王室までにも人気が及びました。

その結果、アパラチアにも広がったといいます。

「ライニングアウト」とアパラチアンミュージック

初期の移民たちは、「ライニングアウト(lining out)」という教会音楽の形式ももたらしました。

これは1人が賛美歌・聖歌の一説を歌ったら、残りの人たち(会衆)がそれに応えるという形式です。

Seperating Line

このタイプの「会衆賛美」はアメリカの植民地全体で一般的でしたが、現在は東ケンタッキーや南西バージニアの丘陵にあるオールドレギュラーバプテスト教会に規制されています。

ブリティッシュ音楽の変化

ブリティッシュ音楽は、アメリカ人の定住後、徐々に変わりつつありました。

もともとインスパイアされていた人々やイベントが定住者の子孫たちに忘れられていくにつれて、曲が叙情的に変わったのです。

また、ドイツ人・オランダ人・フランス人(ユグノー)や特定のアフリカ系アメリカ人を含めた他の定住民の音楽の影響は、新しい音楽が独自のサウンドに発展させていきました。

“New World”バラッド

“New World”バラッドの伝統は、北アメリカで書かれたバラードから構成され、アパラチアンミュージックの発展の際の"Old World"伝統音楽と同じくらい影響がありました。

New Worldバラッドは通常その日のイベント・ニュースを反映して書かれ、ビラとして出版されることが多かったといいます。

New Worldバラッドは「Omie Wise」「Wreck of the Old 97」「Man of Constant Sorrow」や 「John Hardy」を含め、アパラチアンミュージシャンたちの間で人気でした。

Omie Wise
THE WRECK OF THE OLD 97 by HANK SNOW
Doc Watson - Omie Wise
Alison Krauss & Union Station - Man of Constant Sorrow
"John Hardy" performed by Roscoe Holcomb

以降、炭鉱やそれに関する労働問題が”抗議曲”の発展を導き、「Which Side Are You On?」や「Coal Creek March」などの楽曲が生まれました。

pete seeger which side are you on
Coal Creek March

アパラチアンミュージックで使われる楽器「バンジョー」

アパラチアン文化で最も印象的なのは、バンジョーです。

John Denver "Take Me Home, Country Roads" Banjo Lesson (With Tab)

バンジョーは18世紀、アフリカ系アメリカ人の奴隷がもらたした楽器です。

黒人のバンジョー奏者は1798年頃から演奏し始めており、この頃には彼らがテネシー州ノックスビルに存在していると記録されています。

アフリカ系アメリカのブルースは、20世紀初期に広まり、ハーモニー(3rdや7thのブルースノートなど)とフレージングをアパラチアンミュージックにもたらしました。

Dock BoggsやHobart Smithなど初期のアパラチアンミュージシャンの多くは、黒人ミュージシャンのパフォーマンスを見ることで非常に影響を受けたことなどを思い出したといいます。

Oh Death-Dock Boggs
Traditional music from Southern Appalachian - Mr Hobart Smith Cripple Creek

アパラチアンミュージックの楽器編成の移り変わり

ギターやマンドリン、オートハープなどの他の楽器は、通販カタログの普及により19世紀終わりにアパラチアで人気となりました。

これらの楽器はバンジョーとフィドルの楽団に加えられ、初期ストリングスバンドの形成に至ります。

Bromo Guitars - Appalachian Series BAA2CE demoed by Bernard Parlaungan
Appalachian Mandolin APM-1
February 18, 2022

アパラチアンミュージックで使われる楽器「ダルシマー」

フレットダルシマーは、その地で人気があることから「アパラチアン」や「マウンテン」と呼ばれ、19世紀に北西バージニアや南西ペンシルベニアに姿を現します。

これはドイツ楽器の改造版であると言われています。

ハンマーダルシマーとは関係なく、フレットダルシマーは基本的にツィターという楽器を改造したものです。

フレットダルシマー

I'll Fly Away, played on mountain dulcimer by David Durrence

ハンマーダルシマー

Amazing Hammered Dulcimer Musician - Joshua Messick

ツィター

German Zither Music

ダルシマーの音楽教育

20世紀前半、ケンタッキーの(定住者)学校は生徒にフレットダルシマーを教えており、この地域での普及の助けとなりました。

シンガーのJean Ritchieは1950年代にフォークミュージック愛好家の中で、この楽器の普及を担当したといいます。

Jean Ritchie - Hangman (American folk song)

以上で解説は終了です。

当サイトではアパラチアンミュージックに関連する音楽ジャンルについてまとめていますので、アパラチアンミュージックに興味のある方はぜひこちらもご覧ください↓


人気記事

1

今回は、oeksound社の人気プラグイン「soothe3」の新機能と、前作「soothe2」との違いをまとめました。2026年5月に発表されたsoothe3には、いったいどんな魅力があるのでしょうか?

2

今回は、DTMでおすすめのオーケストラ系楽器がすべて使える音源をまとめました。1つ購入するだけで弦楽器・金管楽器・木管楽器・打楽器すべてが揃うだけでなく、世界中のプロが愛用する高品質の製品ばかりですので、まだお持ちでない方はぜひチェックしてみてください。

3

DTMをしていると、DAWのプロジェクトファイルや作曲に関わる資料が大量に作られてしまい、ファイル探しに難航したり、データを紛失したり、容量がすぐいっぱいになってしまいます。そこでこの記事では、このような「膨大な量のファイルを適切に整理する方法」と「ファイルを守るためのバックアップ術」について解説します。

4

今回は、Better Mixesが解説する「ボーカルMIXで声が前に出る&音抜けを良くする方法」をご紹介します。高価な機材は必要なく、DAW付属のプラグインしか持っていない方でもお試しいただけます!

5

今回は、DTMでおすすめの民族楽器系音源・プラグインをまとめました。通常のポップスやオーケストラではあまり使われない楽器や、非常にニッチな国・地域特有の楽器が使える製品もまとめています。インド・中国・北欧・ケルト系・アラブ・ガムラン系など幅広くご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。

6

今回は、イギリスの音楽プロデューサーOceanが解説する「プロになるためにやってはいけないこと」をまとめました。音楽プロデュース歴10年、ヒップホップを中心にこれまで数多くの楽曲提供を行なっているOceanが正直に解説します。

7

今回は、音楽プロデューサーのAlex Romeが解説する「どんな曲も劇的に改善するPanのやり方」をまとめました。Pan(パン)は、使い方によっては音がとても不自然に聞こえてしまうことがあります。そこでこの記事では、DTMで上手にMIXするためにはPanをどのように調整すればいいのか、そのコツを8つご紹介します。

8

今回は低音域の吸音が重要な理由をまとめました。200Hzの低音域は部屋でどのように鳴り、人間の耳にはどのように聞こえ、それが映画や音楽を楽しむときにどう影響するのか、どのような吸音材を選べばいいのか、おすすめの吸音材もまとめてご紹介します。

9

今回は、プロギタリストのRhett Shullが解説する「あなたに合うギタータイプはどれ?」をまとめました。アメリカ・ナッシュビルを拠点に活動するプロギタリストのRhettが、数あるエレキギターの中から自分に合うギター選ぶためのポイントを3つ解説します。記事の最後にはRhettがおすすめするギターも紹介します!

10

今回は「音楽制作用にパソコンのパフォーマンスを最適化する方法」をまとめました。映像音楽制作などで何百トラックも扱っていても、DAWの動作が遅くならない方法があります。しかもこの記事でご紹介する方法は「すべて無料で実践できる上に、最低20%はCPU負荷を削減できる方法」です。ぜひお試しください。

-用語解説・音楽ジャンル