アコースティックギターの歴史を見てみよう【弦・構造の進化】

アコースティックギターの歴史を見てみよう【弦・構造の進化】
アコギってどうやってできたの?
「ギター」の名前の由来は何?

今回は、このような疑問にお答えする内容です。

アコースティックギタープレイヤーShane Donnellyによる「アコースティックギターの歴史」をまとめました。

今では「万能」と言えるほどポピュラーで幅広く使われているアコギ。

何千年も前にさかのぼるギター歴史を知れば、アコギについてより理解を深められ、音楽制作にも役立ちます!

History of the Acoustic Guitar

特に今回は「ギターの構造の進化」についても触れられていますので、非常におもしろい内容になっています。

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ギターの名前の由来

ギター(Guitar)という名前は、ギリシャの言葉「キャサー(Cather)」に由来します。

アラビア語だと「キター(Kita)」で、現在はスペイン語やフランス語由来の「ギター(Guitar)」という発音に落ち着いています。

ストリングス = 「tar」

古代サンスクリット語では、弦楽器(ストリングス)のことを「tar」と呼んでいました。

ちなみにこれは、現在もたくさんの弦を使う楽器が有名な中央アジアで、弦の本数を表す数の前につけられ、接頭語として使われていました。

「~tar」の楽器の例

弦楽器(ストリングス)を指す「tar」という言葉が入っている楽器をご紹介します。

Dotar(ドーター)

Turkmen Dutar

Dotar(ドーター)は、2本の弦を持つトルキスタンの楽器です。
(Doはペルシャ語で「2」)

Setar(セーター)

AFSHAR – Siamak Nasr – Setar

Setar(セーター)は、3本の弦を持つ楽器です。
(Seはペルシャ語で「3」)

Qithara(キターラ)

Qithara(キターラ)は、4本の弦を持つ楽器です。

Panchtar(パンチャー)

Panchtar(パンチャー)は、5本の弦を持つアフガンの楽器です。

ストリングスを用いた音楽のはじまり

何千年もの時を経て、人々は弦を用いた楽器を使って音楽をするようになりました。

ひょうたん型のウリ(植物)に弦をつけて引き伸ばし、ときにはスティックを用いて演奏するなど、徐々に形を変え、今のアコギと似たような形になります。

ボールハープ(Bowl Harps)


画像:https://www.guyguitars.com/eng/handbook/BriefHistory.html

このような多くの楽器は「ボールハープ(Bowl Harps)」と呼ばれました。

これは考古学者のシュメール人・バビロニア人・エジプト人に関する研究によって発見されたものです。

ボールハープは、一般的にネックにあるカーブ状のスティックが使われています。

ボールハープとタンバー

一方で、古代ペルシャ人やエジプト人は「タンバー(Tanbur)」という楽器を使っていました。

https://salamuzik.com/blogs/news/what-is-tanbur-how-to-play-tanbur

まっすぐなネックが使われ、弦を押すことでピッチを変えるしくみです。

1500年ごろまでの歴史でいうと、このタンバーが最も現代のアコギに近い形をしていました。

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1500年ごろのアコースティックギター


画像:https://brewminate.com/the-guitar-in-the-renaissance/

今のアコギの形は、ルネッサンス時代のヨーロッパで使われていた形がルーツになっています。

この時代のギターは、2本の弦を1ペアとし、4ペア分を張っていました(4コース)。

1ペアの弦は、それぞれ同じピッチでチューニングされていました。

また今のギターよりも非常にデリケートで、ネックは短くなっています。

1700年ごろのアコギ

Jean-Nicolas Grobert - Early Romantic Guitar, Paris around 1830
Musée de la musique, Paris / A Giordan – http://mediatheque.cite-musique.fr/musee, Public domain, via Wikimedia Commons

1700年ごろになると、5~6コース分の弦が使われるようになりました。

そしてのちに、現在のようにペアではなくシングル(1本)の弦を6本張るようになります。

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1850年ごろのアコギ


画像:https://blog.guitarfromspain.com/2019/06/11/what-you-need-to-know-about-bracing-styles-for-classical-guitars/

そして1850年ごろになると、クラシックギターの構造ができあがってきます。

スペインのギター職人アントニオ・トーレス(Antonio Torres)は、扇状のブレイシング(ファンブレイシング)をサウンドボードやギターのトップ部分につけるようになりました。

このブレイシングの形のおかげでトーレスは、より大きいサイズで、トップの厚みを減らしたのギターを作れるようになりました。

ブレイシングについては、こちらでわかりやすく説明されています↓

ブレイシングとはなんぞや!!

トーレスの技術が広まる

このトーレスの新しいギター構造のメソッドは、「作曲においてギターがリードしていく役割になる」という道を切り開くことになりました。

ちなみにトーレスのこのブレイシング構造は、今でもよく使われています。

Xブレイシングの誕生

https://www.thaliacapos.com/blogs/blog/three-ways-martin-revolutionized-acoustic-guitar

スペイン出身のトーレスは、ヨーロッパだけでなく世界中で仕事をするようになり、忙しい日々を送りました。

一方、アメリカのギターメーカーがXブレイシングシステムを開発し、ギターをもう一度再開発しました。

ギターメーカー「マーティン」の創始者であるクリスチャン・マーティン(Christian Martin)は、ドイツ移民の中では「最初にXブレイシングを使った人物」として非常に有名な存在でした。

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スチール製の弦とアコギ

Xブレイシングのおかげでギターは強度を増し、のちに従来のガット製の弦の代わりにスチール製の弦を使えるようになります。

それまで使われていたファンブレイシングのギターに装備されたスチール製の弦は、ギターの上に強く伸ばして張られていたため、弦が切れてしまうことがありました。

そのため、Xブレイシングのおかげで使えるギター弦の幅が増えました。

スチール弦&ギターの普及

1900年代になるとスチール弦を使ったギターは普及し、カントリーやウェスタンミュージックは爆発的に人口を増やします。

スチール弦のギターは、「フラットトップ」としても知られています。

より大きな音量とパーカッシブなサウンドを奏でることができ、カントリーやウェスタンで演奏することができました。

現代のギターのブレイシング

今回ご紹介したXブレイシングとファンブレイシングは、スチール弦を使ったアコギにおいて、今でもスタンダードな構造として使われています。

おまけ

今回チラっと出てきたカントリーミュージックですが、 カントリーの起源はご存知ですか?

こちら記事では、カントリーの起源になった「アパラチアンミュージック」をまとめています!

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