【プロの音楽家になるには】世界一の名門音大では学べなかった「プロになるために必要な7つスキル」

【プロの音楽家になるには】世界一の名門音大では学べなかった「プロになるために必要な7つスキル」

今回は、世界一の名門音大・ジュリアード音楽院(ピアノ専攻)とグレン・グールド・スクール トロント王立音楽院を卒業し、現在はピアニスト・作曲家として活躍しているNahre Solが教える「音大で教わりたかった7つの実践スキル」をまとめました。

前回の「世界一の名門音大で学んだ”忘れられない7つの教え”」では、ジュリアード音楽院で学んだ「音楽家として活動する上での大切な教え」を7つご紹介しました。

この記事では視点を逆に変えて、「世界一の音大では学べなかったが、プロとして実際に必要なスキル」を7つご紹介します!

7 REAL-World Skills I Wish I Learned in Music School

スポンサードサーチ

世界一の音大では学べなかった「プロになるために必要な7つのスキル」

「世界一の音大では学べなかったけどプロになるためには必要な7つのスキル」は、こちらの7つです。

スキル1:広い文脈で音楽を学ぶ力
スキル2:音楽でお金を稼ぐ力
スキル3:自己管理能力
スキル4:音楽を教える力
スキル5:即興する力
スキル6:練習方法を見つける&作る力
スキル7:方向転換する力

それでは一つずつ解説していきます。

プロに必要なスキル1:広い文脈で音楽を学ぶ力

「音大では学べなかったけどプロとして必要なスキル」の1つ目は「広い文脈で音楽を学ぶ力」です。

例えば「クラシック音楽はどう存在しているのか」など、広い視野でクラシック音楽が何とどうつながっているのかを学生の時に知れたらよかったなと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=yDjI8iphbhU

有名な音楽家や彼らの楽曲だけを学ぶのではなく、他の音楽とのつながりやその歴史、そして現代ではどうなっているのか…などです。

例えば私(Nahre Sol)の場合は、フォークミュージックの歴史や作曲家について学びたかったなと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=yDjI8iphbhU

ロシアの民族音楽、ハンガリー舞踊、インドネシアのガムラン音楽、ポーランドのマズルカなど…

まず資料を探し、そこから見解やニュアンスなどを知ったり、その周りにある文化、ダンスのしかた、歌い方などを知ったり…

そこから楽曲の分析に入ると、装飾音やタイミング、フレージング、ダイナミクス、音楽全体の雰囲気など理解しやすくなります。

最初から楽曲の解釈やレコーディングのしかたなどから勉強すると、そうした文化的背景などを知らない状態で学ぶことになってしまいます。

現代音楽を学ぶ重要性

現代音楽に関して言うと、多くの場合は「二の次」のような扱いになってしまっていると思います。

https://www.youtube.com/watch?v=yDjI8iphbhU

特に音楽学校のコースやプログラム(授業)では、上の画像のように、1970年代以降に生まれた音楽について勉強する割合が非常に少ないと思います。

大半は、かなり昔に作られたクラシック音楽などを勉強する傾向にあります。

1970年以降に生まれた音楽は、今の私たちが聞いている音楽や文化と直結している部分が多いので、もう少し割合を増やしてもいいと思っています。

スポンサードサーチ

プロに必要なスキル2:音楽でお金を稼ぐ力

https://www.youtube.com/watch?v=yDjI8iphbhU

「音大では学べなかったけどプロとして必要なスキル」の2つ目は「音楽でお金を稼ぐ力」です。

マネージャーやブッキングエージェントがあなたを待ってくれているような状況や仕事をすぐ与えてくれるような状態であれば問題ありませんが、ほとんどの人がそうではないでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=yDjI8iphbhU

上位5%に入るような「とんでもない天才でものすごくラッキーで努力家の人」でないのであれば、自分でやらなければいけません。

しかし残念ながら、「音楽家として現実的にお金を稼ぐ方法」は音大では教わることができません。

音楽でお金を稼ぐときにやるべきことリスト

音楽家として現実的にお金を稼ぐときは、まず「リスト」を作ってみるとよいでしょう。

例えば私はピアニスト(ジュリアード音楽院ピアノ専攻卒業)なので、その経験を活かして「自分ができそうな仕事リスト」を作ってみます。

ピアニストが活躍できる演奏の場リスト(Nahre Solの例)

https://www.youtube.com/watch?v=yDjI8iphbhU
・教会ピアニスト
・オペラの舞台
・バレエの舞台
・ダンススタジオ
・映画音楽の制作
・ボーカルスタジオピアニスト
・プライベートレッスン(ピアノ講師)
・学校の先生(音大など)
・ティーチングアシスタント
・ピアノでのコラボ活動
・オーディション(マネジメント会社に所属し、多くのコンサートに参加する)
・自主開催のコンサート
・ハウスコンサート(誰かの自宅で開催するコンサート)
・伝統的なコンサート(一般的なコンサート)
・オーケストラのピアニスト
・高級レストランのピアニスト
・クワイア(合唱)のピアニスト
・オンライン講座の先生
・ピアノアレンジ(アレンジャー)
※助成金(Grants)を得ることができれば、これらの活動をはじめるときも大きな助けになります。

このように自分が得られそうな仕事をリスト化したら、次は「実際にどのようにすればこの仕事ができるのか?」を考えましょう。

「どうやってどれぐらいお金を稼ぐのか?」については正直わからないこともあると思いますが、「自分の名前を広めたい」という目的で行うのもよいでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=yDjI8iphbhU

そして、プロとして仕事関係の人とどうつながっていくのか…

ギャラを安くするのか、「何でもやります!」などの協力的な姿勢で行くのか、メールの書き方などを工夫していきます。

音楽家として仕事をもらうための「メールの書き方のコツ」

メールに関して言うと、メールを書くときに押さえるべきポイントがいくつかあります。

https://www.youtube.com/watch?v=yDjI8iphbhU
1.入りの文章と終わりの文章を適切に書く
2.迷ったときは丁寧な言葉遣いで書く
3.文章は短く書く
4.メールのタイトルは目的が明確に分かるように書く

音楽家として仕事をもらうための「契約書にサインするときの注意点」

もし実際に仕事をもらう上で契約書にサインが必要になったときは、安易にサインをしないよう注意してください。

https://www.youtube.com/watch?v=yDjI8iphbhU

わからないことや疑問があるときは、必ず弁護士かその分野に精通している友人・知人に聞くようにしましょう。

名門音大を卒業しても、音楽の仕事を得るのは難しい

私は今も、音楽の仕事を得るのに苦労しています。

音楽家であれば、お金のことは考えずに音楽のことだけに集中したいと思ってしまうでしょう。

しかし実際はこれらを避けることは難しいので、音大ではこれらについて網羅的に学べる授業があったらよかったのに…と思います。

プロに必要なスキル3:自己管理能力

「音大では学べなかったけどプロとして必要なスキル」の3つ目は「自己管理能力」です。

「自分のキャリアやモチベーションにどう対処していくか」は、プロにとって大切なスキルです。

私が長年の経験で分かったのは、音楽家として生きていくには「マネージャーの自分」と「音楽家の自分」の両方をしっかり分けなければいけないということです。

自分で「小さなSNSマネジメント会社」を持つ

例えば、音楽家にとってはSNSが非常に大きな力を持ちます。

SNSの運営が苦手な方もいると思いますが、苦手か得意かどうかに限らず、SNSは重要なツールです。

そのため、自分1人で活動するときは「小さなSNSのマネジメント会社」を1人で運営するような状態になります。

SNSの運営は、気をつけないと体力を大きく&早く消耗してしまいます。

企画、撮影、編集、投稿…

SNSではやることが多々あるので、脳をフル稼働しなければなりません。

そのため、「マネージャーの自分」と「音楽家の自分」の2人を上手に分けながら、運営・管理しなくてはいけません。

音楽家のための「SNS運営のコツ」

ここでは、音楽家のための「SNS運営のコツ」を5つご紹介します。

1.やりながら学ぶ
(最初から完璧なコンテンツを作れなくてもOK)
2.不安になりすぎない
3.動画編集の仕方を学ぶ
4.レコーディングの仕方を学ぶ
5.ユニークor役に立つコンテンツを作る
6.今後もずっと使えるリズムやフォーマットを作る
(自分なりのテンポややり方を見つけていこう)
7.成果を見る&メモして次に活かす
(自分のコンテンツが他の人にどう影響を与えたか?)

スポンサードサーチ

プロに必要なスキル4:音楽を教える力

「音大では学べなかったけどプロとして必要なスキル」の4つ目は「音楽を教える力」です。

「音大で音楽を教えてもらった経験があるのに、音楽の教え方がわからないの?」と混乱してしまうかもしれませんが…

ほとんどの音大生は、卒業後に音楽の先生になるか、音楽を教える機会に遭遇します。

物事を教えるにあたって、教育学や授業の構成、アイデアを学生にどう教えていくかをまとめていく能力が大切になります。

https://www.youtube.com/watch?v=yDjI8iphbhU

もしかしたら、演奏家としてオーディエンスに何かを教えるシーンもあるかもしれません。

しかし、自分が伝えたいことをわかりやすく教える方法がわからないまま教えても、相手はただ混乱してしまうだけです。

「いい音楽家」だからといって、「いい先生」であるとは限らないのです。

プロに必要なスキル5:即興する力

「音大では学べなかったけどプロとして必要なスキル」の5つ目は「即興する力」です。

即興のスキルは、どの分野の音楽家にとっても非常に重要な能力の一つだと思います。

私は音大のピアノ専攻でしたが、即興について教わることができなかったので、フレーズの作り方、リアルタイムでアイデアを形にする方法、さまざまな即興のスタイルについて学びたかったなと思っています。

多くのクラシック音楽を学んでいる音大生は、即興のことになると恐怖感を抱いたり、躊躇してしまう傾向にあるのです。

即興のやり方についてはこちらの記事で解説していますので、ぜひお試しください↓

ジャズピアノ初心者のための即興練習【レベル1〜レベル5】 ジャズピアノ初心者のための即興練習【レベル1〜レベル5】 今回は、New Jazzが解説する「ジャズ即興をするための10ステップ」をまとめてみました。 この記事ではPart1として、レベル1からレベル5までの練習をまとめています。 Part1:レベル1〜レベル5(初心者向け) Part2:レベル6〜レベル7(中級者向け) Part3:レベル8〜レベル10(上級者向け) これからジャズピアノの即興をはじめたい方、すでに始めているけどもっとステップアップした […]
【5日間プラン】ジャズピアノの即興練習方法【初心者向け】 【5日間プラン】ジャズピアノの即興練習方法【初心者向け】 今回は、ジャズピアニストのJulian Bradleyが教える「5日間でできる即興ジャズの練習」をまとめてみました。 -こんな方におすすめです- ・即興をやってみたいけど、なんだか難しそう… ・即興初心者は、まずどんな練習から始めればいいのかわからない 1日ごとに練習メニューが変わり、5日目にはかんたんな即興ができるレベルになれますので、ぜひお試しください! Learn Jazz Improvis […]

スポンサードサーチ

プロに必要なスキル6:練習方法を見つける&作る力

「音大では学べなかったけどプロとして必要なスキル」の6つ目は「練習方法を見つける&作る力」です。

まず誤解しないでいただきたいのが、私に教えてくれた素晴らしい先生方は、練習の仕方をしっかり教えてくれましたし、実際にそれらは非常に役立っています。

しかしながら、個人的にはそれらが「学校側で体系的に構成された練習の仕方」に沿っているような形だったので、自分がどのように練習時間を組んでいくか、見直す時間が少なかったように思います。

そのため、「練習自体をどう構成していくか」を考えるための基礎や、練習をよりクリエイティブに、積極的に行うためにはどうしたらいいかなどを考えるための方法が知りたかったなと思います。

実際に、私のYouTube動画では「このスキルを得るためにはどう練習するのが良いか?」に関するコンテンツを多数投稿しています。

「こう練習すればいいですよ」という結果だけ得るのではなく、「どういう練習方法ならもっと楽しく&効果的に練習できるだろうか?」など、練習方法を自分で作る・構成する力も大切だと思っています。

プロに必要なスキル7:方向転換する力

「音大では学べなかったけど必要なスキル」の7つ目は「方向転換する力」です。

これは「プロとして必要なスキル」というよりも、「音楽のプロにならないと決めた時に必要なスキル」になります。

現実として、「音楽は自分がやりたいことでない」と気づいて、別の分野に転身する音楽家がたくさんいます。

演奏家を目指して音大に行った人の中には、演奏家ではなくマネジメントの分野で音楽関係の仕事に就く人もいますし、音楽とは全く関係のない分野に転身する人もいます。

このとき、音楽家以外の職業に就くための情報・リソースが足りなかったり、そういった学生たちへのサポートがあまりないように感じています。

今の私は音楽をやっていますが、過去に同じ経験をしたことがあり、音楽を完全にやめかけた時期がありました。

その時期は、私を冷ややかな目で見るような人もいました。

そのことについて私は気にしていませんが、やはり音大生には同じような経験をする人がたくさんいるので、しっかりとしたサポートが必要だと思います。

こんなに多くの人が経験するようなことなのに、ほんの些細なこと…たった1回のセミナーすらもないのです。

「もし音楽家の道を選ばないのであれば、この人たちに相談してみるといいよ。こういうことをしてみるといいよ。」

だけでもいいので、何かしらのサポートは必要だと思います。

スポンサードサーチ

世界一の音大では学べなかった「プロになるために必要な7つのスキル」

https://www.youtube.com/watch?v=yDjI8iphbhU

今回は、世界一の音大では学べなかった「プロになるために必要な7つのスキル」をご紹介しました。

スキル1:広い文脈で音楽を学ぶ力
スキル2:音楽でお金を稼ぐ力
スキル3:自己管理能力
スキル4:音楽を教える力
スキル5:即興する力
スキル6:練習方法を見つける&作る力
スキル7:方向転換する力

少しネガティブな話もありましたが、音大自体に対してNahre Sol本人はポジティブに思っているようです。

この「音大のポジティブな面」「音大に行ってよかったと思えたこと」「プロになる方法」についてはこちらの記事でもご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください↓

【プロの音楽家になるには】世界一の名門音大で学んだ「忘れられない7つの教え」 【プロの音楽家になるには】世界一の名門音大で学んだ「忘れられない7つの教え」 今回は、世界一の名門音大・ジュリアード音楽院とグレン・グールド・スクール トロント王立音楽院を卒業し、現在はピアニスト・作曲家として活躍しているNahre Solが教える「世界一の音楽大学で学んだ”忘れられない7つの教え”」をまとめました。 「世界一の音大」と言われるジュリアード音楽院(ピアノ専攻)を卒業したNahre Sol本人が、この大学で学んだことの中でも特に重要な「7つの教え」を解説してい […]
【才能vs努力】音楽のプロに聞いた「プロになるための7つの質問」 【才能vs努力】音楽のプロに聞いた「プロになるための7つの質問」 今回は、世界一の名門音大・ジュリアード音楽院(ピアノ専攻)とグレン・グールド・スクール トロント王立音楽院を卒業し、現在はピアニスト・作曲家として活躍しているNahre Solが教える「トップミュージシャンになるために必要な2つの特徴」をまとめました。 今回はそのうち、プロの音楽家3人に聞いた「プロになるために必要なこと」に関する7つのQ&Aをご紹介します。 次回:音楽のプロになるために […]
【才能vs努力】音楽のプロになるために必要な2つの特徴 【才能vs努力】音楽のプロになるために必要な2つの特徴 今回は、世界一の名門音大・ジュリアード音楽院(ピアノ専攻)とグレン・グールド・スクール トロント王立音楽院を卒業し、現在はピアニスト・作曲家として活躍しているNahre Solが教える「トップミュージシャンになるために必要な2つの特徴」をまとめました。 この記事ではそのうち、トップミュージシャンに共通している「プロになるために必要な2つの特徴」についてご紹介します。 前回:音楽のプロに聞いた「プロ […]
音大では絶対に教えてくれない「プロの音楽家に必要なこと」と「自信の付け方」 音大では絶対に教えてくれない「プロの音楽家に必要なこと」と「自信の付け方」 名門・ジュリアード音楽大学とグレン・グールド・スクール トロント王立音楽院を卒業し、現在はプロとして活躍しているNahre Solが教える「学校では教えてくれないけど全ての音楽家に必要なこと」をまとめてみました。 ・プロの音楽家に必要だけど、音大では絶対に教われないこと ・プロの音楽家として自信を持つための「4つの方法」 について、Nahre Sol本人の体験をベースにご紹介していきます! Wha […]