【DTM・MIX】よく使われる5種類のリバーブの違いとは?【Hall・Chamber・Room・Plate・Spring】
今回は、Sweetwaterが解説するよく使われる5種類のリバーブ(Hall・Chamber・Room・Plate・Spring)の違いをまとめました。
これら5つのリバーブはリバーブプラグインのプリセットによくありますが、「なんとなくこういう雰囲気使ってみよう」など「とりあえず」で使って終わり…という方も多いのではないでしょうか?
この記事ではこれら5種類のリバーブの特徴や違いをそれぞれ解説しますので、読み終わる頃には「今はこういうサウンドが欲しいから、この種類のリバーブを使おう!」と、自分が今欲しいリバーブをすぐに判断できるようになります!
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はじめに
今回は、「Hall」「Chamber」「Room」「Plate」「Spring」の5種類のリバーブの特徴と、実際に使ったときの音、おすすめの使い方、各リバーブのおすすめプラグインをご紹介します。
記事の最後には、これらのリバーブが複数種類使えるプラグインもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
Hall(ホールリバーブ)とは?
Hall(ホールリバーブ)は、その名の通りコンサートホールのような空間を演出するリバーブです。
このタイプのリバーブを使うと、残響音が何秒も続き、とても広い空間を感じるようなサウンドにすることができます。
Hall(ホールリバーブ)の音を聞いてみよう
Hall(ホールリバーブ)の例1
Hall(ホールリバーブ)の例2
Hall(ホールリバーブ)の例3
Hall(ホールリバーブ)の例4
Hall(ホールリバーブ)のおすすめの使い方
ストリングスやパッド(Pad)などに使うと、音に厚みを出すことができます。
しかし、使いすぎると音が濁ったり、モコモコしてしまってクリアな音にならないことがあります。
また特定の楽器だけにホールリバーブを使った場合、他の楽器と一緒に聞いたときに薄っぺらく壮大さがないようなサウンドに聞こえてしまうことがあります。
そのため、このリバーブを使うときは「リバーブを使ったことで音に濁りがないかどうか」「他の楽器と合わせて聞いても違和感がないかどうか」を確認するとよいでしょう。
おすすめのHall(ホールリバーブ)プラグイン
その他、記事一番最後にご紹介するプラグインでもホールリバーブが使えます。
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Chamber(チェンバーリバーブ)とは?
Chamber(チェンバーリバーブ)は前述のホールリバーブと似ていますが、より豊かで、その雰囲気に浸れるようなサウンドが特徴です。
ホールリバーブよりも音が明瞭で、濁りにくくなります。
Chamber(チェンバーリバーブ)の音を聞いてみよう
Chamber(チェンバーリバーブ)の例1
Chamber(チェンバーリバーブ)の例2
Chamber(チェンバーリバーブ)の豆知識
昔は、チェンバーリバーブの質感(反響具合など)を制作・録音するために「反響室」を使っていました。
(タイル張りのバスルームや廊下、階段の吹き抜けなど)
反響室にスピーカーを置き、そこから音を出して反響音を録音していたのです。
チェンバーリバーブはビートルズの名作にも多数使われており、そのレコーディングで使われたAbby Road StudiosやCapital Studiosは歴史的にも有名な音楽スタジオの1つとなりました。
Abbey Road Studioのチェンバーリバーブ制作の様子↓
Chamber(チェンバーリバーブ)のおすすめの使い方
チェンバーリバーブは、ボーカル、ストリングス、パッド、ドラムなど、どんな楽器にもおすすめのリバーブです。
ドラムに使うと、 John Bonhamのようなサウンドにすることができます。
おすすめのChamber(チェンバーリバーブ)プラグイン
Waves社「Abbey Road Reverb Plates」
前述の「チェンバーリバーブの豆知識」でご紹介したAbbey Road Studioを実際に使って制作されたプラグインです。
その他、記事一番最後にご紹介するプラグインでもチェンバーリバーブが使えます。
Room(ルームリバーブ )とは?
Room(ルームリバーブ )は、より小さな空間で音が鳴っているように聞かせるリバーブです。
私たちが普段の実生活で聞くようなごく普通の空間の反響を演出するため、より「リアルさ」「ライブ感」を感じさせます。
Room(ルームリバーブ )の音を聞いてみよう
Room(ルームリバーブ )の例1
Room(ルームリバーブ )の例2
Room(ルームリバーブ )のおすすめの使い方
ルームリバーブ は、ボーカル、ギター、ピアノ、ドラムなど、どの楽器にも使えるタイプのリバーブです。
「リスナーと同じ空間にいるように感じさせたい」「目の前にいるように聞かせたい」という場合は、よりリアルさを感じさせるこのタイプのリバーブを使うとよいでしょう。
おすすめのRoom(ルームリバーブ )プラグイン
Valhalla DSP社「Valhalla Room」
(こちらのメーカーはセールを実施しないため、買いたいときが”買いどき”です)
その他、記事一番最後にご紹介するプラグインでもルームリバーブが使えます。
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Plate(プレートリバーブ)とは?
Plate(プレートリバーブ)は、前述のホールリバーブやチェンバーリバーブ 、ルームリバーブとは違い、実際に存在する空間を模倣したリバーブではありません。
金属音のような、人工的な音がするのが特徴で、他のリバーブとは違ったユニークなサウンドが魅力です。
Spring(スプリングリバーブ)の音を聞いてみよう
Plate(プレートリバーブ)の例1
Plate(プレートリバーブ)の例2
Plate(プレートリバーブ)の例3(RoomとHallとの比較)
Plate(プレートリバーブ)の歴史としくみ
Plate(プレートリバーブ)では、磁気ドライバー(スピーカーのコイルをイメージしてください)が使われています。
トランデューサー(変換器)と呼ばれるパーツが大きな金属のシートに信号を送ってを振動させ、それを付属のマイクで拾ってリバーブを作ったのがはじまりです。
このようにして作られたプレートリバーブの音は、あたたかく、濃密で魅力的だったため、現在でも使われるリバーブとなりました。
EMT 140は初期のプレートリバーブの中でも有名で、1960年代のAbbey Road Studioでも使われていました。
そのため、ビートルズやピンク・フロイドなどの有名アーティストの楽曲でこのプレートリバーブのサウンドを聞くことができます。
EMT 140の実際の音↓
デジタル技術を使って作られたプレートリバーブのサウンドは1980年代で人気となり、当時のギタリストたちに愛された冷蔵庫サイズの大きなラックリグにも搭載されるようになりました。
Plate(プレートリバーブ)のおすすめの使い方
プレートリバーブはとてもユニークなサウンドのため、上手に使えば、ボーカルやスネアなどが楽曲の中で非常に目立つようになります。
また、前述の通りビートルズやピンク・フロイドのようなサウンドを出したいときにもおすすめです。
おすすめのPlate(プレートリバーブ)プラグイン
その他、記事一番最後にご紹介するプラグインでもプレートリバーブが使えます。
Spring(スプリングリバーブ)とは?
Spring(スプリングリバーブ)は、クリーンで明るいサウンドが特徴のリバーブです。
Spring=バネを使ってリバーブを作るため、このような名前がついています。
Spring(スプリングリバーブ)の音を聞いてみよう
Spring(スプリングリバーブ)の例1(Roomとの比較)
Spring(スプリングリバーブ)の例2
Spring(スプリングリバーブ)の例3(Roomとの比較)
Spring(スプリングリバーブ)のしくみ
前述のプレートリバーブとはトランデューサー(変換器)を使っている点が共通していますが、スプリングリバーブではプレート(金属の板)の代わりにスプリングを使います(複数本使うこともあります)。
小さいパーツで制作できるため、ギターアンプなどによく搭載されていますが、音楽スタジオ用のスプリングリバーブ専用タンク(大きいサイズ)もあります。
スプリングリバーブタンクの中身

スプリングリバーブのユニット

スプリングリバーブのタンク
Spring(スプリングリバーブ)のおすすめの使い方
音にヴィンテージ感や雷鳴のような響きを出したいときにおすすめです。
Dick Dale「Miserlou」(ギターに注目)
The Congos「Can’t Come In」(パーカッションに注目)
おすすめのSpring(スプリングリバーブ)プラグイン
その他、記事一番最後にご紹介するプラグインでもスプリングリバーブが使えます。
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SpringとPlateの違いと使い分け方
スプリングリバーブとプレートリバーブは、どちらも金属音のようなサウンドが特徴で、リバーブのディケイタイムが長いのも共通しています。
しかし、どちらかというとプレートリバーブの方が「濃密でリッチ」、スプリングリバーブの方が「薄くてバネのような跳ね返り」があると言えます。
参考:https://theproaudiofiles.com/spring-reverb/
おすすめのリバーブプラグイン(複数タイプ入り)
1つのプラグインで、今回ご紹介したさまざまなタイプのリバーブが使える製品もあります。
それぞれリバーブのカラー(テイスト、質感)が異なりますので、ぜひお気に入りの製品を探してみてください。
Solid State Logic社「SSL Native FlexVerb」
もっとリバーブを使いこなせるようになるには?
当サイトでは、他にもリバーブに関するさまざまなテクニックをご紹介しています。
ぜひこちらもご覧ください↓
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