【DTM】EQだけで太く、深く、広がりのあるサウンドにするためのミックステクニック
- 2024.09.07
- 2024.08.31
- ミキシングのコツ
今回は、Marc Daniel Nelsonが解説する「2ステップでより太く、深く、広がりのあるサウンドにするためのミックステクニック」をまとめました。
使うのはEQだけ、しかもたったの2ステップでできるテクニックですので、初心者から上級者の方まで、ぜひマスターしてください!
スポンサードサーチ
EQだけで太さ・深さ・広がりを出すためのポイント
今回はEQだけで太さ・深さ・広がりを出すためのコツをご紹介します。
ポイントとなるのは「MS(Mid & Side)」です。
これは音を「中央から聞こえる音(Mid)」と「左右から聞こえる音(Side)」に分けて処理をする方法で、「MS処理」などと呼ばれます。
MS処理は多くのプロが実践しているミックステクニック
僕(Marc)はこのテクニックを10〜15年ぐらい前に学び、「高音域は左右に配置し、低音域はブーストして中心に配置する」と教わりました。
こうするとEQのカーブの形がニッコリした口のようになりますが、センターの音が太くなるので全体が締まった音になり、サイドの高音域が少しだけ強調されます。
多くのマスタリングエンジニアも、このような処理を行っています。
これは難しいテクニックではなく、EQという誰もが使えるプラグインだけでできるテクニックですので、ぜひ実践して頂きたいと思っています。
MS処理をした楽曲の例
今回は、Tyler Fortierの「I don’t want to forget」という楽曲を例に解説していきます。
この曲では、MS処理をマスター(ステレオアウト)、アコギ、ドラム(キック)に使いました。
まずは、楽曲をお聞きください。
スポンサードサーチ
マスター(ステレオバス)にかけたEQの例
マスターには、このようなEQをかけています。
このFabfilter社「Pro-Q3」はMS処理をすることができ、左側の低音域にある緑のバンドは中心の音に対してかかっているEQ、右側の高音域にある青いバンドはサイドの音に対してかかっているEQです。
高音域のEQの仕方
わかりやすいように、高音域だけ聞いてみましょう。
10kHz以上の高音域は基本的に左右から聞こえ、それ以下の音は中心から聞こえるようにしています。
それでは次に、左右にあった高音域の音を中心にまとめて聞いてみましょう。
3dB程度しか足していませんが、これだけでも充分に左右の高音域を増強することができます。
スポンサードサーチ
低音域のEQの仕方
低音域は、中心から聞こえる音(MId)の音だけ増強するようにしています。
バイパス時と聞き比べてみましょう。
このように低音域と高音域をそれぞれMS処理することで、聞いたときに自分の周りを音がバランスよく取り巻いているようなサウンドになりました。
アコギにかけたEQの例
次は、アコースティックギターにかけたEQを見てみましょう。
サイド(右側の青いバンド)を3dBだけ増やしていますが、バイパス時と比べると広がりに違いが出ていることがわかります。
スポンサードサーチ
ドラムにかけたEQの例
キックが中央で鳴っているので、ドラムのバスにも同様のEQをかけています。
バイパス時と聞き比べてみると、キックが一歩前に出ているように聞こえるようになりました。
ほんの数dBでミックスに太さ・深さ・広がりが出る
このように、EQを見るとほんの数dBの違いで、音を聞いてもわずかな差かもしれませんし、僕も毎回この処理をするわけではありません。
しかし、これをするのとしないのとでは、やはり音に太さ・深さ広がりに違いも出ますし、その変化のおかげで楽曲に動きや音像の違いも出てくるので、とても重要なテクニックです。
「ほんの少しの差」でもいい
特に長時間作業をした後は音に慣れてしまうので、「ものすごくいい音になった!」と思ったときも、時間を置いてから聞くと「そんなにいい音でもなかった」と思うことがあります。
このように音に慣れてしまった状態で「100%が200%になった!」と思うぐらい劇的な変化をつけると、それだけ後から聞き直したときのリスクも高まります。
時によっては、その大きな変化がミックスを台無しにしていることもあります。
そのため、「ちょっとの変化」ぐらいに留めておくのもよいでしょう。
後から聞いたときにたったの15%でも「いい音」になったのであれば、それはとてもいいことですので、今回のように「ほんの少しの差」でも良いのです。
EQだけで太く、深く、広がりのあるサウンドにするためのミックステクニックまとめ
以上が「EQだけで太く、深く、広がりのあるサウンドにするためのミックステクニック」でした。
・Midは「低音域〜中低音域」
・Sideは「中音域〜高音域」
・ほんの数dBでも大きな変化が出る
当サイトでは他にも音に広がりやパンチを出すためのテクニックをご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください↓
-
前の記事
【オーディオ・DTM用語】DCオフセットとは?発生原因と対処法を解説! 2024.09.06
-
次の記事
【MIX師】プロがボーカルミキシングのときに必ずやっていること 2024.09.08